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ご本人にあう形で治療を進めましょう|橋本 昌也 院長

医療コラム

「ご本人に会う形で治療を進めましょう!」

「ふくろうクリニック自由が丘」は奥沢・自由が丘・田園調布エリアの「かかりつけ医」として、急性期の脳疾患・整形疾患・生活習慣病などの慢性疾患・高齢期のフレイルまで地域の皆様の健康のために尽力致します。 脳神経内科医・脳神経外科医・整形外科医が在籍しており、脳を中心とした診療に力を入れています。 月曜日から土曜日まで毎日診療をしています。

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橋本 昌也 院長

1997年に東京慈恵会医科大学医学部卒業。パーキンソン病の研究にたずさわり、2008年に東京慈恵会医科大学医学系研究科修了。

2021年5月よりふくろうクリニック自由が丘院長就任
「学生時代からサッカー部で、今も仲間とフットサルの試合を楽しんでいます。サーフィンも好きで、実家のある鴨川の海で波に乗っています」

高齢者のために集まったエキスパート

「私が担当するのは、おもに認知症の患者さんです。ここには2名の常勤医師がいて、それぞれ得意な分野がありますので、患者さんの病気、症状を考えて、みんなで相談しあって、担当医を決めています」
認知症の患者さんでも、がんや脳梗塞など、複合的に病気を持っていることもあります。「もしも、私一人しか医者がいなかったら、他の病気についてはわからないことがあるかもしれません。」

“いつ、なにがあったのか”をくわしく

「認知症の診断には、病歴が大切です」。病歴とは、認知症ではないかと感じたのは、いつ、どのような出来事があったためか、ということです。
「具体的であればあるほどいいですね。『以前からもの忘れが気になっている』ではなく、『去年の8月頃に、前の日に買ったものと同じものを買ってきてしまった』とか、『2年前の3月頃から、とても部屋を散らかすようになった』というように、くわしい形で教えてほしいのです」
CTやMRIなどの検査では認知症は診断しにくく、この病歴が大きな決め手になります。
「病気はひとつとは限らないし、典型的な症状が出てこない人もたくさんいます。だから、情報が多いほうが正しく診断ができ、そうすれば、適切な治療が始められます」
認知症を疑って悩んでいる家族へ、橋本医師は「まずはっきりさせましょう」と、アドバイスします。
「先延ばしにして良いことは、ひとつもないと思うのです。病気なのか、病気ではないのか。病気なら何病なのか。今はどの段階にあるのか。はっきりすると、今後の予想がつけやすくなりますね。
病気によって、5年、10年単位で少しずつ進んでいくものもあれば、1年で一気に進むものもあります。早めにはっきりすれば、今後を予想して、いろいろなことが準備できます。
例えば、ご家族が気持ちの整理をしたり、金銭面の計画を立てたり、施設の入所を考えたり。施設に入るとしても、時間の余裕があれば、本人の意見を聞きながらゆっくり検討することもできるのです」

認知症はどんな病気かを学ぶ

患者さんには、家族と一緒に暮らしている方、1人暮らしの方、夫婦2人の方もいます。最初にクリニックにコンタクトをとるときも、本人が外来へ、本人が家族に連れられて、家族だけなど、さまざまなパターンがあります。発症まもない方、大きな病院で検査をしてきた方、遠い病院に通いきれなくなって訪ねてくる方もいて、「どんな形であってもかまいません」と、橋本医師は言います。
「まずはご家族で相談に来られるだけでもいいと思います。ただ、ご本人への診察がないままで、薬を出す、治療するといったことは難しいでしょう。病院に行くことを嫌がるお年寄りの方もいると思いますが、このクリニックでは医師が自宅へ診察に行くことが可能なので、活用してほしいですね」
橋本医師は「好きで認知症になったわけではないので」と、本人には病名は告げず、薬も「予防の意味で飲みましょう」と言います。しかし、家族には病気についてくわしく説明します。「ご家族の中にはショックを受ける方もいます。いろいろ思うところはあるでしょうが、次に進むためにも、現実を受け入れていかれるようです」
家族には、認知症という病気の原因や症状、治療、対処法について正しい知識を持ち、理解を深めてもらいます。薬の効果や特徴も説明し、副作用が出たら連絡するよう伝えます。そのための時間は十分にとるようにしています。

可能性を広げるため、まずつながりを

外来患者の多い大きな病院では、時間がないために病気のくわしい説明ができないこともあります。橋本医師は、「クリニックだと時間をかけられますし、自宅にも出向きますので、くわしくお話ができます。患者さんもご家族も、移動や待合の時間が少なくてすむので、メリットは大きいでしょう」と考えます。
「逆に大きな病院はCTやMRIを備えていて、その日のうちに検査をすることもできます。めずらしい病気も、たくさん医師がいる大学病院のほうが強みがある。要は、得意不得意がはっきりしているので、プランを立ててうまく使いわけていけばいいのです」
ふくろうクリニック自由が丘では、関連病院に紹介もできますし、以前、通っていた病院と情報交換したり、より専門的な病院、医師につないだりすることもできます。「まず、つながりができることが大事です。そうすれば可能性が広がるので、患者さんにあった形で治療ができます。気になることがあれば、一度、お話に来てくださるといいでしょう」