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医療コラム

「ふくろう広場、カウンセリングルームふくろう等々力はなぜ必要か」
ふくろうクリニック等々力院長 山口 潔

私は東京大学医学部附属病院で物忘れ外来を長年担当してきました。当院の院長になってからも、認知症の方の診療とケアの向上は私のライフワークです。大学病院で外来診療していた時には、多くの困難を感じていました。

認知症の専門医であれば、本当に大事なことは日常の生活を維持することであり、ケアやリハビリテーションによって患者さんの状態が変わることは共通の理解です。しかし、外来診察の限られた時間で、患者さんの症状を詳細に評価したり、その発症メカニズムを分析し、有効な指導を行っていくのは率直に難しかったです。その結果、とりあえずお薬に頼ってしまったということがあったと思います。

本来、ケアやリハビリテーションは、日本の医療制度から考えれば、介護保険のサービスの中から提供することになっています。しかし、患者さんは様々な地域から来ていましたので、患者さんがお住まいの地域にどのようなサービスがあり、どんな人がサポートをしてくれるのかも全くわかりませんでした。ケアマネジャーさんが重要ともっともらしく口で言っても、じゃあどのケアマネジャーさんがいいかなんていうことは、さっぱりわかりませんでした。また、認知症の方のほとんどは必ず進行します。遠方の病院への通院はとても大変になりますから、そのうち自宅近くの先生のところに紹介しないといけません。介護施設に入所され、そこの協力医に治療を引き継ぐという方も多くいます。私は非常勤で介護付き有料老人ホームの協力医をしていたので、通院ができなくなって以降の治療やケアも個人的には経験させて頂いていましたが、少なくとも東大病院の患者さんについては、軽症の状態だけ診療し、重症になったら他人任せにならざるを得ませんでした。

これでは、いくら認知症の専門医だと言っても、認知症の方への良い治療やケアはできないと感じ、思いきって開業したわけです。今は、世田谷区玉川地域にお住まいの認知症の方に、発症から最期までの一貫した診療とケアができる立場となりました。認知症は、地域医療が担当する病気だと考えます。

認知症の方の訪問診療については他稿で詳しく述べていますので、ここでは、私がもう一つ認知症の方において重要だと考えている、「診断後ケア」について紹介します。まず、ご家族が今までとは違う患者さんの様子に気づき、物忘れ外来に一緒に受診します。検査をすると認知症の診断がつき、薬物療法が始まり、定期的な通院の必要性が伝えられます。家族にとってみれば、不可解な患者さんの行動の原因がわかって一安心するわけですが、それ以上にこれから自分達の生活がどう変わるのか不安になります。患者さんにとっては、お薬を飲み始めても、症状がわりやすく良くなる訳ではありません。記憶力や判断力の低下により、患者さん本人は生活の上で困っています。当然不安です。認知症の初期こそ、患者さんや家族のケアが必要です。しかし、介護保険で考えたら、要介護度としては軽症なわけです。この状態に介護保険からどんなサービスを利用すると良いでしょうか。一方で、医師が診察の際に、認知症ケアに必要なお話を各患者さんに細かくできるでしょうか。いずれも難しいです。本来であれば、多くの職種がチームを組んで手厚くケアすべきだと考えるのですが、日本でそれを可能とするシステムはありませんので、当院がまず提供したいと考えています。

その思いの結果出来たのが、ふくろう広場であり、カウンセリングルームふくろう等々力です。詳細はそれぞれの説明に譲りますが、なぜ当院に開設したのかについてはこれでわかって頂けると思います。
ふくろう広場カウンセリングルームふくろう等々力

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