当院のスポーツ医療について
私達は、在宅医療を含めて高齢者を多く拝見する中で、認知症予防やフレイル予防に関心をもち、ふくろうクリニック自由が丘を開設しました。
なぜ当院がスポーツ医療に関心を持ったか。その理由は、認知症予防やフレイル予防において最も効果的なのが、運動・スポーツだからです。もちろん運動・スポーツは、グランド、体育館、プール、ジムでやるものであり、医療機関でやるものではありませんが、中年期以降になりますと、高血圧や糖尿病などの内科的な疾患や、変形性関節症、椎間板ヘルニアなどの整形外科疾患も増えてきますので、運動・スポーツを始める前に、メディカルチェックを受けた方がよいと考えらえます。その結果、まずは薬物療法が必要な方や、当院のリハビリテーション室で運動療法を始めた方が良いという方もいらっしゃいます。運動・スポーツがいかに大切かとわかっていても、ご高齢の方には敷居が高い場合も多く、理学療法士やトレーナーなどの専門家に相談しながら進めていくことも良い方法です。
一方で、近年、運動・スポーツが原因で認知症やフレイルになることもわかってきました。スポーツによる脳振盪を繰り返すことによって、将来認知症になる確率が高まることがわかってきたことです。そこで、当院では、脳振盪の診断・リハビリテーションが可能な体制を整備しました。さらに、そもそも脳振盪は起こす前からの予防が必要なわけで、当院ではスポーツ脳ドックを用意しました。また、アスリートに起こる医学的問題は脳振盪だけでありませんので、脳神経外科医、脊椎脊髄外科医に加えて、整形外科医、内科医、精神科医、家庭医についても、スポーツ医学に詳しい医師が対応できる体制を整えました。学校、職場、地域やさまざまなスポーツ競技団体の方と連携しながら、アスリートやその関係者のためのクリニックとなるよう尽力したいと考えます。
適度で適切な運動・スポーツを、医療の立場から提案し、支援していきたいと考えます。
スポーツ頭部外傷に対する専門医療
※当院では東邦大学医療センター大橋病院の中山晴雄先生との連携の元、脳振盪後の競技復帰のサポートをさせていただいております。当院でも月2回土曜日に中山晴雄先生のスポーツ頭部外傷外来をしております。
脳機能の確認は、院内のMRI検査による診断、神経学的検査
公認心理師による神経心理検査などから多角的に行います。
※当クリニックでは、Siemens社の高性能3.0T(MAGNETOM Lumina)の最新MRIを導入しています。
MRIとは強い磁石と電波を使って体の内部構造を鮮明 に見ることができる検査です。
骨に包まれた脳・脊髄、主要な血管を撮影できます。特に、脳、脊髄、血管、関節、軟部組織の精緻な検査に適しております。
治療 リハビリの流れ
医師が患者さんの症状に基づいてプログラムを組み、以下のような段階を踏んで競技復帰のサポートをいたします。
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脳振盪後は体と脳の機能をしっかり休めます。
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症状がなくなったら有酸素運動から始めます。
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症状が悪化しないようであれば無酸素運動を始めます。
※症状に応じて頚部のストレッチ・バランスの訓練・高次脳機能訓練を行います。
スポーツ脳ドック
ラグビーなどのコンタクトスポーツをされている方は要チェック!
- 脳振盪後の競技復帰について悩んでいる方
- シーズン前のメディカルチェックを受けたい方
スポーツ脳ドックとは
スポーツにより繰り返される脳振盪は将来の脳における異常が発見される場合がありますので定期的にMRI検査、医師の診察、公認心理師による認知機能検査を受けることをお勧めいたします。
※脳振盪とは、頭をぶつけたり強い衝撃が加わったりしたあとに、脳の機能が障害された状態です。意識を失うこともありますが、それ以外にも頭痛、吐き気、めまい、ふらつき、ぼやけて見える、集中できない、など様々な身体的・精神的な不調をきたすことがあります。
内容
脳神経内科・脳神経外科の診察を受けた後、公認心理師による心理検査、MRI検査を行います。
患者さんの状況に応じて、リハビリテーションのご案内をさせていただきます。
ご利用の流れ
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ご予約
インターネットまたはお電話でご予約ください。
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受付
コンタクトスポーツ問診票とMRI用問診票をご記入いただきます。
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医師による問診
症状、お悩みをお伺いいたします。
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神経心理検査(公認心理師)
脳機能の確認を行います。SCAT5の測定を行います
(※脳振盪を適切に 評価する」ために使用される標準化されたツールです)
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MRI検査
MRI検査を実施いたします。撮影時間は20~30分程度となります。
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お会計・次回ご予約
脳神経外科医から検査の結果説明があります。
必ず2週間以降で次回のご予約をお取りください。
料金
一部保険診療の対象となる場合があります。お問い合わせくださいませ。
注意事項
次のような方は検査を受けられないことがあります。必ずスタッフに申し出てください。
- 心臓ペースメーカーを埋め込んでいる方
- 人工内耳、人工中耳の方
- ステント挿入手術を2週間以内に受けられた方
- 古い人工心臓弁の手術を受けられている方 ※2
- 眼に微細な金属片が入っている(または入っていると疑わしい方)
- チタン製以外の脳動脈瘤クリップが入っている方 ※2
- 金属の義眼底の方 ※2
- 骨折によりボルト固定がされたままの方 ※2
- 躯幹全体に入墨のある方
※2 手術日時が古くカルテも保存されていない場合が多いために患者様ご自身でも材質がわからないケースが多く見受けられます。
当クリニックでは、2000年以前に施行された手術による人工物が体内にある場合には基本的にMRI検査はお勧めしないことにしております。但し、製造メーカー、手術をされた病院などがわかれば問い合わせて材質が確認できる場合もありますのでご相談ください。
メディカルチェックと運動処方
高齢期の運動前のメディカルチェックのススメ
スポーツ・運動は身体機能のみならず精神機能も含めて多面的な効果を発揮する一方で、リスクを伴うことに注意が必要です。
こんなリスクに注意
- 心臓疾患を持つ方の運動中の急死
- 脳血管疾患、内分泌異常、腎疾患、肝疾患をもつ方の持病の悪化
そのためスポーツを始める前には、メディカルチェックをお勧めします。
メディカルチェック内容(保険診療の対象です)
- 医学的検査
問診・診察・血圧測定・血液検査・尿検査・身体計測・心電図・胸部レントゲン検査 - 高齢期の整形疾患の検査
(関節の運動性や可動性、痛みの有無、筋力低下や筋萎縮など)
※必要があれば、MRI検査も追加します。
心臓疾患が疑われる場合は、当ビル3階のたかはし内科クリニック自由が丘での精査も紹介します。
運動の処方
メディカルチェックの結果によって以下を相談しながら決めていきます。
- 運動自体を行ってもよいか
- 適した運動の種類
- 負荷や強度
- 時間や頻度を相談します。
運動時に注意すべき点、予測されるリスク(リスクが発生した場合の対処法なども事前に確認します。)
1年に1回はメディカルチェックを受けて身体の状態を把握し、必要に応じて運動プログラムの見直しを行い、楽しくも安全にスポーツ・運動を継続していきましょう。
呼吸器疾患のリハビリテーション
呼吸リハビリテーションは、薬物療法、吸入療法、酸素療法、人工呼吸療法、呼吸理学療法(リラクセーション、呼吸練習、呼吸筋トレーニング、胸郭可動域運動、排痰法、運動療法)、栄養療法、心理社会的支持、患者・家族の教育を含んだ包括的な医療プログラムです。
呼吸理学療法のススメ
特に運動療法を中心とした呼吸理学療法は、最も効果的と考えられています。
しかし外来で呼吸理学療法が受けられる施設は限られており、ぜひ当院をご利用いただきたいと考えています。
特にCOPD(慢性閉塞性肺疾患)においては、呼吸リハビリテーションにより、呼吸困難の軽減、運動耐容能の改善、QOLの向上、不安と抑うつの軽減、および入院回数と入院日数の減少、生存期間の延長といった効果が、科学的に証明されています。
※主治医はそのままに、リハビリテーションのみ当院でという医療連携も積極的にしております。