橋本院長 医療コラム『認知症について』
橋本院長による、医療コラムです。
今回は、認知症について掲載いたします。
認知症について
認知症(物忘れ)と聞いてすぐに思い浮かぶ疾患はアルツハイマー病という方が多いと思います。しかし認知症をきたす疾患は多数存在します。レビー小体型認知症、血管性認知症、正常圧水頭症、さらには腫瘍、感染症、内分泌異常、代謝異常などなど…。そして疾患が異なれば治療も長期的な対応もすべて異なります。「物忘れがある」「認知症がある」だけで終わるのではなく、原因をできるだけ早く特定しなければなりません。それは、治療はもとより正しく対応するためです。
診断について
受診時には患者さんご本人、ご家族の両者のお話を伺う必要があります。両者の話の食い違いも重要な情報となります。問診の内容としては
1、いつ頃から物忘れを感じるようになったか?
2、なぜ「認知症がある」と思い始めたのか?
3、普段の様子。趣味、好きなこと、嫌いな物などについて。
4、感情の起伏、寝言、幻覚、妄想の有無。
5、現在の生活環境について。
6、既往歴。
7、内服歴。
などが必要です。これらを確認した上で診察を行い、必要に応じ血液検査、頭部MRI検査、高次機能検査を行い、総合的に認知症の程度及び原因疾患を特定し治療を開始します。
治療について
内服薬、貼付薬、さらには新薬である点滴などいくつかの選択肢があります。さらには周辺症状(BPSD)と言われる不安感、焦燥感、イライラ、不穏などに対しても個々に合った内服を検討します。また、薬物療法のみだけでなく運動療法、音楽療法、各種公的サービスなども相談しながら検討させていただきます。
認知症の治療は必ずしも物忘れをなくすことを目標とするわけではありません。重要なのはご本人、ご家族が日常生活を幸せに過ごせることであると思います。当クリニックがその一助になれば幸いです。