診療内容 Service

COPD外来

COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは、従来「肺気腫」や「慢性気管支炎」と呼ばれていた病態を、ひとまとめにした疾患です。日本人のCOPDの有病率は8.6%、40歳以上の約530万人がCOPDに罹患していると推計されており、現在COPDと診断されている方以外にも、多数の潜在的なCOPD患者さんがいることが推測されています。

COPDの主な原因はタバコであり、COPD患者の9割の方に喫煙歴があるとされています。タバコの煙などの有害物質に長期に吸入暴露されたことにより、気管支や肺に慢性の炎症が起こり、その結果、進行性の肺機能の低下が引き起こされます。

COPDの症状は、長引く咳・痰・息切れです。中年以降の喫煙者の方で、風邪をひいたわけでもないのに咳・痰がでる、階段昇降や速足で息切れがでるといった症状があればCOPDが疑われます。

COPDが中等度以上に進行すると、患者さんは息切れを避けるために運動量が低下し、そのために筋力が落ちてさらに息切れが悪化するという悪循環が引き起こされます。また風邪などをきっかけに急激に症状が悪化すること(COPDの急性増悪)があり、コロナやインフルエンザなどのウイルス感染症の予防も大切です。感染予防のためにはワクチン接種が推奨されます。COPDの重症化に伴い、やせなどの栄養障害、サルコペニア(筋肉減弱症)、骨粗鬆症、心・血管障害、うつ症状などを合併する場合があります。早い段階でCOPDを発見して、治療を開始することが重要です。

COPDを診断するためには、呼吸機能検査(肺活量・一秒量測定)が必要です。同時にレントゲンや胸部CTで、肺癌、肺炎、肺結核、気管支喘息など、他の疾患を除外します。COPDと診断された方の治療としては、まずは原因となる喫煙をやめることが最も重要です。次に、症状や重症度に合わせて、薬物療法(気管支拡張薬、去痰薬など)を行うとともに、呼吸リハビリテーションを行います。

重症のCOPDで呼吸不全をきたした患者さんでは、酸素の持続的な吸入(在宅酸素療法)や呼吸を補助するマスクの使用(NPPV:非侵襲的陽圧換気療法)が必要となる場合もあります。

特に当院では、呼吸リハビリテーションに力を入れており、周辺の基幹病院と連携し、併診で呼吸リハビリテーションの効果を検証する臨床研究も進行中です。

下記のような症状がある方は、早めに当院のCOPD外来を受診していただければと思います。

 

こんな症状がある方は受診をおすすめします

  • 咳、痰、息切れのある方
  • タバコを吸っていた方

担当スタッフ

非常勤【呼吸器内科】
橋本典生 Mitsuo Hashimoto