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医療コラム

しっかり話して、不安をとりのぞきたい|スタッフ紹介・秋好 沢諭 副院長

「ふくろうクリニック等々力」は、主にご高齢の患者さんを対象にしている「高齢者総合支援診療所」です。世田谷区・目黒区を中心に、ご自宅や施設に医師がうかがう「在宅診療」と、「外来診療」の両方を行っています。高齢の方の立場を考えた、きめ細やかな医療を、地域に提供しています。

秋好 沢諭 副院長

台湾生まれ。生まれてすぐに来日して日本で暮らす。2005年に東京医科大学医学部卒業。2014年東京大学大学院医学系研究科修了。
東京大学医学部附属病院での研修スタートが老年病科で、雰囲気のよさにひかれて同科に入局。2016 年から、「ふくろうクリニック等々力」の常勤医に。
家に帰るとふたりの娘の父親で、「子どもたちを無責任にかわいがっている、と言われています」。

高齢者のどんな症状にも耳を傾ける

人は年をとると、様々な身体の不具合がおきてきます。便秘になる、眠れない、トイレが近い……。でも、それぞれの症状に合わせて、複数の科で診察を受けるのは大変なので、どんな症状にも耳を傾けてくれる医師がいると心強いものです。秋好沢諭先生は、高齢者の不調や病気を包括的に診る老年病科の医師です。
「年をとると、いくつもの病気を持つこともあり、薬の副作用も出やすく、複数の薬を飲んでいる場合は、飲み合わせも考えなければなりません。何かしらの症状があるのに、うまく表現ができないとか、訴えと病気が一致しないこともあります」
高齢者の身体や病気には、他の世代と異なる特徴があり、対応するには、様々な分野にまたがった判断が必要です。
「患者さんの状態をみて、必要があれば臓器別診療科、病院で検査や治療を受けてもらい、専門医師の考えを聞くこともあります」が、結果は必ず秋好先生に報告されます。
「全体をあわせて判断し、ご本人やご家族に説明をするのは、主治医であり、かかりつけ医である私の役割になります。いわば、司令塔ですね」

慣れた環境の中で、治療をしていく

ふくろうクリニック等々力で、秋好先生は主に訪問診療を担当しています。身体が衰えて、通院がむずかしくなった高齢者のもとに行き、診療をします。
「病気を抱えていても、患者さんが家やホームで暮らし、元気でその人らしい生活ができるように支えていくのが、自分の役割」と、秋好先生は言います。「高齢者は慣れた環境で過ごすほうがリラックスできるでしょうし、少々の体調不良であれば、生活の場で治療したほうがよいこともあります」。
大学病院の老年病科にも在籍していますが、「外来の場合、大勢の患者さんが来ているので、一人にかけられる診察時間は10分くらい。次回の診察は、2、3カ月先になってしまうこともあります」。
訪問診療の場合、基本的には月2回訪問します。体調や病状の変化、薬の効果や副作用もこまめにチェックでき、気になることがあれば、いつでも電話で相談ができますし、また医師からも状態確認として電話をかけることもあります。
ただし、移動や環境の変化といった負担を考えても、入院して検査や治療を行うほうがメリットがある場合もあり、「そこを見極めるのも、老年病科の医師の役割だと思います」。

医師も生活を支えるチームの一員

訪問診療を受けている患者さんは、心身の衰えから生活に手助けが必要なケースが多く、介護保険制度を使って、医療、看護、介護が連携して生活を支えます。
外来診療の場合、患者さんの普段の暮らしや介護の様子が見えないこともあったと、振り返る秋好先生ですが、「訪問診療は、どこでどんな生活をしているかがわかります。ケアマネジャーさんと連絡を密にとり、サービス担当者会議に出席して、他の介護スタッフさんと顔をあわせて意見交換をしています」と語ります。
個人的には、医者が特別な存在だとは思っていません。「専門職が集まって、その人の生活を助け、支えていきます。そこには介護や看護のスペシャリストがいて、医者は医療のスペシャリストとして一翼を担っていると思っています。お互いにプライドを持って、尊敬しあえる間柄が理想と考えています」。
医師がサービス担当者会議に出席することは、一般的には多くありませんが、「その人のどこに注目して、どんな見通しを立てているかという医師の視点を全員が共有していると、状態が悪くなったときでも、落ち着いて、適切な対応ができると思います」と、意義を語っています。
「それぞれの生活の場でご本人が幸せで安楽に暮らすには、ご家族のケアや理解が大事」と、家族にも気を配ります。「ご家族が無理していると、家での生活を続けるのが難しくなることもあるので、ご家族が困っているな、疲れているなと気づいたら、家族に対するケアも考える必要があります」。

“with aging” 、人生に寄り添う医療

「訪問診療を卒業して、外来への通院に切り替わる患者さんもいるので、訪問診療になったから先がないと気落ちしたり、あきらめたりしないでください」と、秋好先生は言います。
「例えば、入院で足腰が弱った、落ち込んで意欲がなくなったという人に対して、在宅でリハビリを支えたり、不安を取り除いたりとサポートし、また外来に通えるようになるまでをつなぐというケースもあります」
ふくろうクリニック等々力では、外来診療も行っているので、在宅から外来へもスムースに移行できます。これまでの治療経過など、情報も引き継がれます。そして、また訪問診療を再開することも可能です。
もし、本人の状態が悪くなり、最期のときが近づいても、事前に先行きや対処方法について、医師の知識と経験に基づいた説明があれば、家族も不安なく寄り添うことができると考えています。「わからないから恐いし、パニックになってしまう。でも、病気や老いが、どんなステージを経ていくものなのかを事前に理解し受容できていれば、運命から逃れられなくても、先が見えない恐怖や不安は軽くできるのではないか」と、話をする時間を大切にしています。
家族も医師も、その他の専門家も、それぞれが真剣に関わり、お互いにベストを尽くし、そして最期を迎えたときには、悲しみがあっても後悔がないようにという気持ちでありたいそうです。
「“最期のときは先生にお願い”とお看取りの予約をする患者さんもいます。冗談半分にお互い笑い合いますが、もう半分は、しっかりと思いを受け止め、その信頼に応えなければと気を引き締めています。
訪問診療や老年医学は、看取りの医学ではありません。“with aging”。その人の人生に寄り添い、少しでも多くの幸福を共に見つけたいと思います」

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