本人ミーティング
~なぜ本人の声を聴くのでしょうか~
当クリニックでの本人ミーティングは、「認知症になってからも、希望と尊厳を持って暮らせる社会を本人とともにつくろう」ということが社会でも位置づけられる中、「認知症を持ちながら暮らす本人同士が話し合い、『本人の声』を聴くことができる場をつくろう」ということが出発点となっています。
あくまでも”本人“という軸をもち、私の体験や心配なことを話し、伝え合う、参加した人達が一緒に話し合う場として、2021年7月から、月に1回、開催しています。
本人(当事者)同士がたとえ月1回でも定期的に集まる場があると、本人たちの日常の中に不安や不便なこと、できないことがあっても、次第に顔見知りとなり、互いの声やトーンに親しみを覚え、一度出会った人同士の笑顔や声が、“安心の場への手がかり”になっていることに気づきます。
また、“本人”とともに、軸を支えている“家族”への支援として、ご家族の中にも、動揺や戸惑い、不安が起こり増す中、「家族会(家族のほっとカフェ)」を「本人ミーティング」と同時間帯に院内隣り合わせた別スペースにて開催することによって“本人と家族”の相乗効果も生まれています。
ふくろうクリニック「本人ミーティング」は、2025年6月には42回を重ねることができました。
2023年には “認知症基本法” が成立し、”新しい認知症観”が共生社会実現を推進するための基盤であることが示されたように、当クリニックの医療の中では、「診断前後の支援」として、「本人ミーティング」から、当事者が住み慣れた地域で仲間と出会いながら、希望をもって自分らしく暮らし続けることができるよう、包括、社協、地域の集いの場などにつなげていくことも ”新しい認知症観” の試みとなることと思います。